10月26日
昨日、スーパーで買い物をして、
駐輪場から自転車で走り出した瞬間、
「タクちゃん!!」と後ろから
名前を呼ばれた。
びっくりしてブレーキ。
慌てて振り返ると、
キャップを被った
六十歳位の優しそうな男性が
ニコニコしながら立っている。
自分のことを名字では無く
名前で呼ぶ者は少ないので、
親しい間柄のはずだけど、
ジット顔をみても誰なのか判らない。
随分と久しぶりに逢ったようで、
目が潤んでいるようにまで見える。
一応、向こうに合わせ、
ずっと笑顔を作っていたけれど、
どうしても記憶が蘇らないので、
今更訊くのは変かも知れないけど、
「失礼ですが、私は小磯卓也の
タクちゃんなんですが、合ってますか?」
と、おそるおそる訪ねてみたら、
びっくりした顔になり、
すぐに寂しそうな表情で
「すいません。人違いでした…
本名は×××× ×××でした。」
あらま、その名前じゃ、
全然 タクって入ってないじゃん。
どんな愛称なんじゃ~と、
心の中で、突っ込んだが、
余りにもキラキラした目だったんで、
逆に申し訳なくなってきて、
「いえいえ、私、以前も誰かと
間違われたことがあるんです。
きっと良く似た方がいるんですねー」
と咄嗟に慰めてみたものの、
ひたすら「すいませんでした。」を
繰り返すので、私も「いや、いや」を
繰り返しながら、後ずさりで、
その場を離れた。
自転車で走りながらも、
さっきの人の目の輝きが、
頭に残ってしかたがなかった。
タクちゃんに会えて、
よほど嬉しかったんだろうなぁ…
タクちゃんって、
いつもハンチングと
地味なコートの刑事風
だったのかなぁ…
そして更に、
髭で長髪ってこと?
そこまで一緒なら、
友達になってあげれたかも。
いや、やっぱりそれはヘンか…
あれ? そういや、
前に道で、間違われた時は、
和服を着てる時だった!!
私と良く似た、
知らないタクちゃん。
いつか逢えたら、
嬉しいな。
