5月15日
「満足は努力の中にあって、
結果にあるものではない。」
ガンジー(1869〜1948)
週末は三角山から尾根を伝って、
大倉山の頂上に向かった。
其処にはスキーのジャンプ台があり、
展望台にはトイレがあるのだ。
そうである。登山に鰻は失敗だったが、
最高であろう山頂でのビール体験が
できちゃうではないか。
冷凍室でキンキンに冷やした缶ビールを、
保冷袋に入れてリュックに詰め、
約2時間の小登山。
空の近くで一気に身体に注ぐ、
炭酸の王様の味は
どんなんだろう?
土曜は暑かった。汗が吹き出し、
フラフラしながらも、裏道からの、
大倉山の頂上近くに近づいてきた時、
遠くから奇妙な歓声が聞こえてきた。
最初は風に乗った円山球場の音だと
思っていたのだけどナーンカ違うのだ。
何だろうね~と話しながら山頂。
森を抜けた途端、普段とは全く違う、
見事な異空間が広がっていた。
死体のようにあちこちに倒れている、
ぴっちりした服を来た人々。
それはまるで、
未来人の地獄のようでした。
余りの予想外さに、
「猿の惑星」のラストシーンを思い出しながら、
呆然と立ちすくんでいると更に、
なんとジャンプ台を自力で
登って来た方が、突然僕らの横で嘔吐。
どうやら不思議なことに、
其処にいる人達には、僕らのことが全く
見えていないようだ。
動揺しながらも、
レッドブルと書かれたシャツを
着た人が混じっていることに気付き、
恐らく、ジャンプ台を一気に駆け登る、
はちゃめちゃな競技のようなことを
やっているのだろうと推測。
なんとまぁ、何にも知らないで、
裏山から登ってきた僕らは、
ハードすぎる競争の参加者と、
その関係者だけのゴールに、
いきなり紛れ込んでしまったのだ。
マズイなぁーと思ったけど、
喉がカラカラである。
いたたまれなくなって一旦、
山道に引き返したのだけど、
細い道だけで休む所が無い。
しょうがないのでまた山頂に戻って、
スミッコの方でビールを開けた。
できるだけ、そぉーっとそおーっと。
プシュッ!!という爽快な音が
周囲に響き渡り、
それまで僕らの存在が
全く見えていなかったゾンビ達の、
最大級の恨めし気な視線が、
一斉に2人に向けられたのだった。
