7月27日
「生で食べられる肉が欲しいんですが…」
「何処で聞いた?」
「友達からです。」
「これに名前と電話番号 書いて。」
「お任せで、5000円分お願いします。」
「何人で食べるの?」
「4人です。」
「7000円出しな。仕事してるんでしょ。」
「それじゃ、それで。」
「これ食べて待ってな。」
大型冷蔵庫から、大きな塊を出し、
薄く削いだ肉片を直接手渡された。
生肉をそのまま貰ったのは当然初めてで、
動揺してしまったが、平静を装いながら、
かじり付いたら、最高の牛肉。
慣れた手つきで、
黙々と色々な部位を切り、
今では珍しい経木に包んでゆき、
「はい 7000円ぶん。これがタレね。」
家に帰って開封したら、
1口大にカットされた
牛レバー、ハツ、モモ、
鶏砂肝、ササミ、ラム肉が。
当然どれもが、
焼くなんて野暮なことが
まったく必要ない 驚きの旨味。
タレは甘いので、塩&レモンや、
定番の塩&胡麻油でアッと言う間。
それが10数年前のこと。
以来、特別な
パーティーの主役は、
おやじの生肉になりました。
ある時はホルモンまであって、
ソコまでやってくれるか〜と感動。
肉を肉のまま摂取すること。
どんな料理も敵わない、
今では遺法レベルの、
食うことの原点に帰る体験。
今年は既に2度もありつけていたのに、
先日、おやじの店の近所の、
カフェPOOLのモモちゃんから、
大将が亡くなったことを知らされました。
闘病中だとは聞いていましたが、
大丈夫だと思っていたのでビックリ。
命と命を綺麗に繋ぐことが出来る、
貴重な職人さんでした。
教えて頂いた、肉の本当の味。
いつまでも忘れません。
